キューバ人アーティスト、フェリックス・ゴンザレス=トレス(Felix Gonzalez-Torres)とアメリカ人アーティスト、ロニ・ホーン(Roni Horn)による作品集。
1990年、ゴンサレス=トレスは、「ロサンゼルス現代美術館(Los Angeles Museum of Contemporary Art / MOCA)」の床に置かれたシンプルな薄い金箔の作品に出会った。
ホーンの作品「Gold Field」(1980年/1982年)である。
その後、1996年にゴンサレス=トレスがこの世を去るまで、両者の交流は続いた。本書は、二者の作品がもたらす体験的な特性と、その根底にある深遠な関係性を鑑賞者に共有することを意図したフォト・エッセイとして制作されている。
ゴンサレス=トレスの「Untitled(For Stockholm)」(1992年)、「Untitled(Blood)」(1992年)、ホーンの「Well and Truly」(2009-10)、「a.k.a」(2008-09)という代表作4点を中心にフォーカスを当て、二者による折り重なることによる増幅、二元性、反復、アイデンティティという観念を強調している。
本作の展覧風景は、2022年にパリの現代美術館「ピノーコレクション(Pinault Collection)」で開催された展覧会の際に撮影されたものであり、両者の過激なまでの視覚的語彙とともに、言葉や文章や詩に対する共通の情熱を感じ取ることができる。
アーティスト、鑑賞者、作品との間に緊張感を与えること、また表現できないものや測り知れないものを理解しようとすること、その2つの意図が浮かび上がってくる。
hardcover
80 pages
178 x 235 mm
color
2022
published by STEIDL