アメリカ人アーティスト、デイヴィッド・ハモンズ(David Hammons)の作品集。本書は、一貫して芸術界の権威に反対してきた作者の、とらえどころのない精神を批評的に洞察したモノグラフである。ナイジェリア人詩人、小説家、劇作家のベン・オクリ(Ben Okri)がエッセイを寄稿し、芸術的人格の狂信的な信仰に対する作者の批判的なアプローチを探求している。作者自身の自己イメージに対する冷静な無関心を、古典や美術史において重要な影響を持つガイウス・プリニウス・セクンドゥス(Gaius Plinius Secundus)からジョルジョ・ヴァザーリ(Giorgio Vasari)といった人物の経歴と対比している。作者による唯一のビデオ作品である「Phat Free (1995/1999)」のスチール写真に始まり、ボディプリントから不透明さや変装、偽装を利用した作品群における明確な戦略まで、作者の作品を包括的に記録している。アメリカ人画家のアグネス・マーティン(Agnes Martin)による晩年の作品「Untitled #9」と、2014年にロンドンのギャラリー「White Cube Mason’s Yard」にて開催された作者の展覧会にて展示された、白と淡い色彩を使った作品との類似点も紹介している。「(Studio) Jonathan Hares」がデザインを手掛けており、作者の思慮深い作品群と調和するリズムをもってイメージを配置している。
hardcover
176 pages
225 x 300 mm
color, black and white
2022
published by WHITE CUBE